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年金分割のひな形と3号分割や合意分割を解説

離婚ブログの著者は行政書士の辻雅清

離婚協議書や離婚公正証書原案作成に役立つひな形をお伝えします。

ここでは年金分割の基本的なひな形(テンプレート)を公開します。
当事務所でも利用しているので自分で作成される方は参考にしてください。
注)わかりやすいように細かい表現や文言は削ったひな形です。

年金分割ひな形の解説の前に1点だけ大事なことをお伝えします。

離婚協議書や離婚公正証書の作成目的は完成ではありません。
離婚後のトラブルや未払いを防ぐことです。この意識が欠けると後悔します。
例)離婚条件を書面に残したのにトラブルが起きていたら作った意味がない。

【目次】

○ 年金分割のひな形と文例
○ ひな形の1つ目のポイントは年金分割の改定者
○ ひな形の2つ目のポイントは年金分割の按分割合
○ 厚生年金ではなく共済年金のひな形はある?
○ ひな形を利用する時の2つの注意点とは?
○ 3号分割の特徴とは?
○ 3号分割の申請条件とは?
○ 合意分割の特徴とは?
○ 2人揃って申請するのが難しい場合は?
○ 合意分割の申請条件とは?
○ 自分が3号と合意どちらに該当するかわからない
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?
○ 無料相談から始めませんか?

年金分割のひな形と文例

甲(第1号改定者)及び乙(第2号改定者)は、厚生年金保険法第78条の2の規定により、日本年金機構理事長に対し対象期間(婚姻期間)に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合を0.5とすることに合意した。

年金分割のひな形(文例)は対象になる全てのご夫婦が利用できます。
以下でお伝えしている2つのポイントを除いて全て丸写しで問題ありません。

なお、年金分割の合意を離婚公正証書に記載できますが、
一般的には年金分割合意書という別書類を作るご夫婦が多いです。

なぜなら年金分割合意書の作成手数料は安いからです。
このブログで年金分割合意書の解説をすると話が逸れるので割愛します。

ひな形の1つ目のポイントは年金分割の改定者

第1号改定者は年金分割で減る人、第2号改定者は増える人です。
婚姻期間中の働き方に応じて夫と妻はどちらかに該当することになります。
例)夫が会社員で妻が専業主婦だと第1号は夫で第2号は妻になる。

年金事務所で年金分割の情報通知書を請求すれば、
どちらが第1号改定者、第2号改定者に該当するか直ぐにわかります。
例)第1号改定者は田中○男、第2号改定者は田中○子と記載されています。

年金分割ではこの情報通知書の請求から始めてください。

なお、年金分割の申請方法は3パターンあります。
3号分割に該当するご夫婦は離婚公正証書などに記載する必要はありません。

一方、合意分割に該当するご夫婦は合意条件について、
離婚公正証書などに残す、残さないの判断をする必要があります。
例)離婚後、2人揃って窓口に行けるから離婚公正証書には残さない。

つまりこのブログは合意分割に該当するご夫婦だけに必要な情報となります。

ひな形の2つ目のポイントは年金分割の按分割合

合意分割では按分割合を夫婦間協議で決めます。
各夫婦によって按分割合の範囲が異なるので範囲内で決めてください。

按分割合の範囲は年金分割の情報通知書に記載されています。
具体的には「按分割合の範囲は○%~50%」と記載されています。

この範囲の最小値(○%)は各夫婦によって異なります。
仮に50%で合意した場合はひな形(文例)のように「0.5」と書きます。

厚生年金ではなく共済年金のひな形はある?

公務員の方が加入している年金を共済年金と言います。

以前は共済年金を分割する場合は別のひな形が必要でした。
現在は共済年金と厚生年金が一元化されているので同じひな形を利用できます。

つまり会社員でも公務員でも利用するひな形は同じです。
上述の通り、2つのポイント以外は全てひな形の丸写しで問題ありません。

ひな形を利用する時の2つの注意点とは?

① 意味を理解せずにコピペしている
② 複数サイトのひな形をコピペしている

先ずひな形を利用する方はコピペを前提としています。

ひな形には難しい言葉や言い回しが多く含まれています。
この結果、①意味を理解せずにとりあえずコピペをしている方が多いです。

意味を理解していない場合、離婚後にトラブルが起きるかもしれません。
トラブルが起きて後悔しないためにもコピペするなら意味を理解することが大事です。

そしてひな形を利用する方は複数サイトから情報を得ていることが多いです。
なぜなら自分に合ったひな形を1つのサイトで全て見つかる可能性が低いからです。
例)Aサイトは浅いけど全般、Bサイトは養育費、Cサイトは不動産に特化。

各サイトによって表現や言い回しは異なります。
つまり複数サイトからひな形をコピペした場合は同じ条件を二重に記載している可能性があります。

この結果、まとまりがなくわかりにくい離婚協議書や離婚公正証書ができます。
冒頭でお伝えした離婚協議書や離婚公正証書を作成する本当の目的から逸れていきます。

当事務所では離婚協議書などのチェックをする機会が多いです。
ほとんどの方がこの①と②の状況になっているので自分で作成する方はご注意ください。

3号分割の特徴とは?

① 離婚後に1人で年金事務所にて申請
② 按分割合は折半(50%)と決まっている

先ず3号分割は合意分割の特徴と比較すると、
新しい制度でわかりやすいと言えます。逆に合意分割はわかりにくいです。

年金分割の制度の内、3号分割の申請方法は、
①離婚後に1人で年金事務所に出向いて手続きをすれば終了です。

ご夫婦が揃って申請することになる合意分割とは異なり、
3号分割は1人でできます。これが3号分割の特徴の1つ目です。

そして②按分割合も折半(50%)と決まっています。
合意分割のように夫婦間で按分割合の協議をする必要はありません。

按分割合とは「一方から他方へ○%分割する」ことを言います。
例)会社員の夫から専業主婦の妻へ50%分割することで合意した。

按分割合が折半。これが3号分割の特徴の2つ目です。

なお、3号分割の申請は自分の自由な意思でできます。
仮に配偶者が嫌がったり拒否しても無視して申請ができます。
もちろん自由な意思なので3号分割をしないという判断もできます。

以上のことから3号分割と合意分割を比較すると、
3号分割は手続きが簡単で申請者の負担が少ない申請方法だと言えます。

最後に3号分割の申請条件は厳しいので全てのご夫婦ができる訳ではありません。
3号分割ができないご夫婦は合意分割に該当します。

3号分割の申請条件とは?

① 平成20年4月以降に納付した保険料が適用
② 雇用形態が扶養内パートや専業主婦(主夫)に該当

3号分割は①平成20年4月以降に納付した厚生年金が適用されます。
平成20年4月以前の期間は合意分割となり全てのご夫婦が利用できる訳ではありません。

つまり婚姻期間が長いご夫婦程、合意分割に該当することが多いです。
注)厳密には3号分割と合意分割の併用申請になる可能性があります。

次に婚姻期間中の雇用形態に応じて申請の可否が決まります。
具体的には②扶養内パートや専業主婦でないと3号分割の申請はできません。
例)夫が会社員で妻が扶養内パートの場合は3号分割の申請が可能。

当事務所では20代~30歳のご依頼者様が多く、
子どもが幼いことから夫は会社員で妻は専業主婦(扶養内パート)というケースが多いです。

つまり3号分割に該当するご依頼者様が多いです。
なお、3号分割の合意は離婚協議書や公正証書に記載する必要はないです。

合意分割の特徴とは?

① 情報通知書を取得する
② 按分の割合の協議と合意が必要
③ 離婚後に2人揃って年金事務所で申請する

先ず年金分割の内、合意分割の申請方法は、
②夫婦間で按分割合の協議をして合意しない限り申請はできません。
例)会社員の夫から専業主婦の妻に45%分割することで合意した。

按分割合の協議と合意が必要。これが合意分割の1つ目の特徴です。

次に自分が合意分割の該当者になっている場合、
①年金分割のための情報通知書の請求と取得から始めてください。

この情報通知書は年金事務所に請求します。

情報通知書には按分割合の範囲という項目があります。
この範囲を確認してから夫婦間で按分割合の協議をしてください。
例)○%~50%と記載されているので50%の分割を希望する。

なお、按分割合の範囲の最小値は各ご夫婦ごとに異なります。
この最小値を知るために年金分割の情報通知書が必要となります。

年金分割の情報通知書を取得。これが合意分割の2つ目の特徴です。

夫婦間協議の結果、按分割合の合意ができれば、
③離婚後に2人揃って年金事務所に出向いて申請をすれば終わりです。
例)夫と妻は合意分割の按分割合を50%にすることで合意した。

離婚後に2人揃わないと申請ができない。これが合意分割の3つ目の特徴です。

以上のことから離婚後に1人でできる3号分割と比較すると、
合意分割の申請は複雑で協議も必要なのでわかりにくいと言われています。

2人揃って申請するのが難しい場合は?

離婚後、元配偶者と会いたくない、ドタキャンされたくないと考える方は多いです。

この問題は簡単に解決することができます。
それは離婚公正証書に年金分割の記載があれば1人で申請ができます。
例)養育費と面会交流の合意とは別に合意分割の条件も記載する。

ただし、現実的には離婚公正証書ではなく年金分割の合意書を作成することが多いです。なぜなら費用が安く節約に繋がるからです。

なお、離婚公正証書も年金分割の合意書も公証役場でしか作成できません。

合意分割の申請条件とは?

① 平成20年4月以前に納付した保険料が適用
② 平成20年4月以降の雇用形態が共働きのご夫婦に適用

先ず①平成20年4月以前に納付した厚生年金については、
全てのご夫婦が合意分割に該当するので按分割合の協議が必要です。

つまり婚姻期間が長いご夫婦は合意分割に該当する可能性が高いです。

次に②平成20年4月以降に納付した厚生年金については、
共働きのご夫婦だけが適用されるので雇用形態がポイントになります。

共働きとは双方が各自で厚生年金を納付していることを言います。
つまりご夫婦の内、一方が扶養内パートの場合はここで言う共働きに該当しません。

なお、平成20年4月以降の雇用形態が専業主婦の場合、
合意分割と3号分割、2つの併用申請に該当することになります。
例)平成10年に結婚して離婚するまで専業主婦だった場合は併用申請になる。

この併用申請が絡むので年金分割はわかりにくいと言われています。

最後に合意分割の申請は雇用形態に加えて期間(平成20年4月以前と以後)も大事なポイントです。

自分が3号と合意どちらに該当するかわからない

年金分割の制度や手続き方法はわかりにくくて難しいです。
正直な話、文字(HP)を読むだけでは理解が深まりにくいです。

今この状況だという方は年金事務所や当事務所へご相談を頂ければすぐに回答できます。

はっきり言って文字より電話でお伝えした方がわかりやすいです。

最後に年金分割の申請を考えたら効率よく進めるためにも、
自分がどの申請方法に該当するかという確認から始めてください。

この判断を間違えると効率が悪く後悔することになります。
例1)3号分割の準備をしていたけど申請時に合意分割だとわかった。
例2)合意分割とわかったので離婚した元夫と再協議することになった。

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