
離婚公正証書に書く内容、書くべきことをお伝えします

【目次】
○ 離婚公正証書に書く内容のポイントは2つ
○ 離婚公正証書の原案を作る時のポイントとは?
○ 離婚公正証書にはどんな内容でも書ける?
○ 離婚公正証書に書くべきこととは?
○ 離婚公正証書の3つの特徴とは?
○ 離婚公正証書を作成すれば安心できる?
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?
○ 無料相談から始めませんか?
初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。
〈主要業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)
2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきた経験をこのページにてお伝えします。
ここでは離婚公正証書に書く内容、書くべきこと、特徴についてわかりやすくお伝えします。
離婚公正証書に書く内容のポイントは2つ
① ご夫婦ごとに書く内容が変わる
② 夫婦間で合意した離婚条件を省略(割愛)しない
先ず離婚公正証書の原案はご夫婦で作れますが完成はできません。
全国各地にある公証役場の公証人しか完成できないのでご注意下さい。
原案とは夫婦間で合意した離婚条件を整理してまとめたものです。
当事務所で離婚公正証書原案を作成する場合は離婚協議書を代用しています。
離婚公正証書には夫婦間で合意(約束)したことを書くので、離婚の経緯や原因、離婚時の状況によって書く内容は変わります。
未成年の子どもがいる場合は養育費や面会交流の条件を書きます。
他に財産分与(婚姻中に蓄えた財産の分配)や慰謝料などの条件もあります。
例1)養育費として月5万円を20歳まで支払う。
例2)面会交流は月1回実施し実施方法は都度協議する。
なお、財産分与は3つの財産(不動産、預貯金などの金銭、家具家電などの動産)に分類され、ご夫婦が蓄えた財産を分配した結果を記載することが多いです。(証拠の記載)
離婚公正証書の原案を作る時のポイントとは?
上述の通り、離婚公正証書は公証役場でしか作成できません。
事前準備として公証役場に提出する原案を夫婦間で作る必要があります。
夫婦作成の原案はメモ用紙に箇条書きで書いても構いません。
例)養育費は月2万円。毎月20日払い。子どもが20歳まで払う。
なお、原案は箇条書きレベルよりひな形レベルの方が良いです。
理由は割愛しますが「作れそう」な場合はひな形レベルにチャレンジして下さい。
離婚公正証書の原案を作る時に気を付けることがあります。
それは夫婦間で合意した内容(約束)を省略せず全てを記載することです。
〈夫婦間の条件協議の例〉
夫「自動車はもらってもいいかな?」
妻「いいよ。免許もないし書かなくてもいいよね。」
合意内容を省略する理由は重要度の低さが考えられます。
省略するということは口約束と同じなので離婚後のトラブルに繋がります。
例)離婚後、元妻が自動車を売却して現金化したいと主張してきた。
重要度の低さとは数多くある合意した条件の中での重要度のことです。
例)養育費の重要度は高いけど自動車の財産分与は低い。
こういう訳で合意した条件を勝手に省略(割愛)せず全て書くことが大事です。
離婚公正証書にはどんな内容でも書ける?
公証役場では作成前に夫婦作成の原案チェックを行います。
法的に無効な合意や問題のある内容があれば以下のような指摘を受けます。
〈公証人の指摘例〉
・この内容は問題があるので修正が必要です。
・この内容は無効なので離婚公正証書に残せません。
仮に重要度の高い合意条件について修正や削除が必要と判断された場合、原案提出を取り止めて、持ち帰って再協議(時間がかかる)が必要です。
一方、重要度の低い合意条件の修正であれば、持ち帰らなくてもその場で修正案の合意ができる可能性があります。
再協議はデメリットだと感じる方が多いですが、将来のトラブルを未然に防げたというメリットだと言えます。
こういう訳で夫婦間で合意した全ての条件が離婚公正証書に記載(反映)されるとは限らないのでご注意下さい。理由はわからないのですが、どんな内容でも書けると勘違いされている方が多いです。
ちなみにご夫婦で原案を作らず専門家に依頼をした場合は事前に公証役場と調整をするので修正が起きる可能性は0%に近いです。
離婚公正証書に書くべきこととは?
① 養育費、面会交流
② 財産分与、慰謝料、年金分割
③ 見落とされがちな離婚条件
先ず離婚公正証書に書くべきことはご夫婦ごとに異なります。
つまり100組のご夫婦がいれば100通りの離婚条件(内容)になります。
①と②はこのページの前半でお伝えしているので割愛します。
ここでは③見落とされがちな離婚条件について軽くお伝えします。
当然、ご夫婦にとって必要、不要な条件が混在しているので取捨選択して下さい。
③見落とされがちな離婚条件とは?
A 清算条項‐離婚後のトラブル防止に役立つ内容。
B 通知義務‐養育費などの未払い時に役立つ内容。
C 秘密保持‐離婚後の新生活を始める上で安心できる内容。
A~Cの内、特にA清算条項は馴染みがなく見落とされがちです。
また見落としていなくても意味や効力を理解していない方も多いです。
基本的に全ての離婚条件に合意した後に離婚公正証書を作成します。
全ての離婚条件に合意しているのであれば清算条項は必ず記載して下さい。
清算条項とは今回決めた条件を蒸し返さないという内容です。
つまり清算条項を書かないと離婚公正証書の効力が弱まります。ご注意下さい。
B通知義務は元夫が○○をしたら元妻に通知をするという内容です。
○○には住所地変更(引越し)などが入り養育費の未払い時に役立つものです。
※ 当事務所では住所地変更以外に4つの変更通知をお勧めしています。
C秘密保持は言葉通りで婚姻中の出来事を第三者に漏らさないという内容です。
なお、A~C以外にも細かい離婚条件がいくつかあります。後悔しないように色々な媒体(インターネット、書籍、離婚経験者、専門家など)から情報を集めた上で話し合いを始めて下さい。
最後にA清算条項とB通知義務は見落とされがちな離婚条件の中でも離婚公正証書に書くべきことの上位リストに入ると考えているので覚えておいてほしいです。
離婚公正証書の3つの特徴とは?
① 強制執行ができる
② 公証役場でしか作成できない
③ 費用(手数料)が必ずかかる
離婚協議では様々な条件の合意をします。
そして合意した条件を書面に残したものを離婚給付契約公正証書と言います。
主な離婚条件として養育費、慰謝料、財産分与などがあります。
協議離婚では夫婦間の話し合いでこれらの条件を決めることになります。
例1)子どもの養育費として大学卒業まで月3万円支払う。
例2)不動産の財産分与として夫名義の一軒家を妻名義にする。
ここから本題に入っていきます。
先ず離婚公正証書には①強制執行という強い効力があります。
これは養育費などの未払いが起きた場合、以下のように財産の差押えができます。
〈強制執行の例〉
元夫「養育費は来月から払わない。」
元妻「払わないなら強制執行の手続きを検討します。」
次に強制執行(財産の差押え)はとても強い効力です。
このことから離婚協議書とは異なり全国各地にある②公証役場でしか作成できないです。
公証役場は特別な役所というイメージを持てば大丈夫です。
「大阪府 公証役場」という形で検索すれば、お住まいの地域の公証役場の所在地が出ます。お時間がある時に確認して下さい。
なお、公証役場には住所地管轄がありません。
つまり自分の好きな地域の公証役場で離婚公正証書を作成できます。
例)大阪府在住のご夫婦が兵庫県の公証役場で作成する。
最後に離婚公正証書を作成する場合は③費用支払が必要です。
この費用のことを公証役場手数料と言い計算方法はこちらのページをご覧下さい。
つまり離婚公正証書は無料で作成できないのでご注意下さい。
ここまでが3つの特徴の解説となります。離婚公正証書を作成するには費用がかかりますが、強制執行という効力を考えると作成する価値は十分あると思います。
離婚公正証書を作成すれば安心できる?
離婚公正証書を作成しても100%安心とは言えません。
離婚後、養育費などの未払いが起きて強制執行の検討をした時、元配偶者が無職だったり財産がなければ差押えができないからです。(国が立替えてくれる制度ではありません。)
ただ口約束に比べると強制執行という最終手段があるので支払率を上げるという意味では効果があります。
【関連ブログ】
・離婚公正証書完成までの作り方と進め方‐完成までの期間も解説
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協議離婚では夫婦間の話し合いで養育費、面会交流、財産分与などの離婚条件を決めるという特徴があります。
そして夫婦間で決めた条件は口約束で終える、書面に残す、2つの選択肢から自由な意思で決めることができます。
書面に残すと決めた場合、離婚協議書又は離婚公正証書という書面を作成します。
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