
離婚に伴う戸籍や姓の変更、離婚後の手続きを解説
離婚に伴う手続きはたくさんあります。
離婚条件の話し合いと並行して準備しておくことが大事です。

【目次】
○ あなたの戸籍と姓はどう変更される?
○ 離婚後の姓の判断基準を知りたい
○ 子どもの戸籍と姓はどう変更される?
○ 離婚後の戸籍謄本をすぐに取得できない理由
○ 離婚後の手続き一覧
○ 離婚後の健康保険の手続きが大事な理由
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?
初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。
〈主要業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)
2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきた経験をこのページにてお伝えします。
ここでは離婚に伴うあなたや子の戸籍や姓の変更、離婚後にしかできない手続きなどについて解説します。
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あなたの戸籍と姓はどう変更される?

婚姻時に夫の姓を選択する女性が多いため、ここではわかりやすいように婚姻時に「妻が夫の姓を名乗った」というケースを使って解説します。
〈離婚後の戸籍と姓の選択肢は3つ〉
① 離婚後は旧姓に戻る+婚姻前の戸籍に戻る。
② 離婚後も夫の姓を名乗る+新戸籍を作る。
③ 離婚後は旧姓に戻る+新戸籍を作る。
先ず離婚することで妻は旧姓に戻るのが原則ですが、離婚後の生活環境(職場や子どもへの影響など)や婚姻期間などを考慮した結果、②夫の姓を名乗ることもできます。
離婚後も夫の姓を名乗る場合、離婚成立から3か月以内に役所へ「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出します。
この届は離婚届と同時に提出するご依頼者様が多いです。つまり夫婦間の養育費などの条件協議と同時進行で離婚後の姓を考える必要があります。
なお、③離婚後は旧姓に戻ると決めた場合、届出書類は不要です。つまり何か手続をする必要はありません。
〈よくある夫から言われること〉
・離婚後は旧姓に戻ってほしい。
・離婚後はボクの姓を名乗ることは許さない。
離婚後の姓を考えている際、夫からこのようなことを言われることがありますが、妻は自分の自由な意思で離婚後の姓を決めれます。つまり夫から言われても気にする必要はありません。(夫からの許可は不要です。)
ただし、1度決めた離婚後の姓の再変更は簡単にできません。
つまりメリットやデメリットを理解した上でどちらの姓にするか慎重に決めて下さい。
なお、妻が子どもの親権者になる場合、①を選べません。つまり②か③を選ぶことになります。
なぜなら「婚姻前の戸籍」は妻の両親の戸籍のケースが多く、離婚後、妻は戻ることができても子どもが入ることはできないからです。1つの戸籍に3世代(親、子、孫)は入れないのでご注意下さい。
離婚後の姓の判断基準を知りたい
上述の通り、離婚後の職場環境(同僚からの気遣いなど)、子どもへの影響(友達との関係など)、婚姻期間の長さが判断基準になりやすいです。当事務所では子どもへの影響を最優先で考えているご依頼者様が多いです。
具体的には子どもが幼い場合は婚姻期間が短いため旧姓に戻りやすく、子どもが小学生以上だと学校環境を考えて夫の姓を名乗ることが多いです。
なお、ご依頼者様には離婚後の手続きリストをお渡ししているため、離婚後の戸籍と姓について自分で調べる必要はありません。
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子どもの戸籍と姓はどう変更される?

婚姻時に戸籍の筆頭者は夫になるケースが多いため、ここではわかりやすいように離婚時に「妻が子どもの親権者になった」というケースを使って解説します。
〈離婚に伴う子どもの戸籍と姓の変更の流れ〉
① 家庭裁判所で子の氏の変更許可申立を行う。
② 役所に許可審判所と入籍届を提出する。
③ 2週間程度で子どもが妻の戸籍に入籍する。
先ず婚姻時の戸籍には夫、妻、子どもが記載されています。(見本A)
そして離婚することで妻はこの戸籍から抜けて新戸籍を作ります。(見本B)
離婚成立の時点では子どもは夫の戸籍(婚姻時の戸籍)に残っているため(見本C)、夫の戸籍から抜いて妻の新戸籍に入れるという手続き(見本D)が必要です。この手続きの流れが①~③です。
仮に妻が離婚後も夫の姓を名乗ると決めても①の申立(子どもは鈴木という姓から鈴木という姓に変更する)を行う必要があり、①~③の流れで進めることになります。
なお、①の手続きは1日仕事になる可能性が高いので離婚後のスケジュール調整が必要です。また申立を行う家庭裁判所は「子どもの住所地を管轄する裁判所」という管轄があるのでご注意下さい。
離婚協議では養育費などの条件で頭が一杯になりやすいです。
ただこのような戸籍や姓のことも考える必要があるので覚えておいて下さい。
また子どもの姓は学校環境などを考慮した上で慎重に決めることが大事です。
〈婚姻中の戸籍の見本A〉
夫 鈴木 太郎(筆頭者)
妻 鈴木 花子(旧姓は田中)
子 鈴木 リカ(長女)
〈離婚後の戸籍の見本B〉
妻 田中 花子(筆頭者)
〈離婚時の戸籍の見本C〉
夫 鈴木 太郎(筆頭者)
子 鈴木 リカ(長女)
※ 妻の花子は除籍されます。
〈①~③の手続き後の戸籍の見本D〉
妻 田中 花子(筆頭者)
子 田中 リカ(長女)
※ この時点で子リカはCの戸籍から除籍されます。
一般的に戸籍謄本(全部事項証明書)を取得する機会(相続やパスポート申請など)は少なく馴染みがないため、わかりにくいという方は1度取得して確認することをお勧めします。
離婚後の戸籍謄本をすぐに取得できない理由
離婚後の手続きでは離婚の事実が反映された戸籍謄本が必要になる(家裁での子の氏の変更許可申立など)ことがあります。
離婚届を提出した日に離婚の事実が反映される可能性は低く、反映されるまでの日数は自治体ごとに差があると感じることが多いです。
過去、離婚から2週間経過しても反映されないご依頼者様がいたので、離婚前から役所に反映までの日数を確認することをお勧めします。
反映までの日数を把握できれば離婚後の手続きのスケジュールが立てやすくなります。
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離婚後の手続き一覧

離婚届を提出することで協議離婚は成立します。
ただ離婚後にしかできない手続きがあるので協議離婚の成立はゴールではなく通過点と言えます。
ここでは離婚後の手続きに役立つ情報を1つずつ丁寧にお伝えしていきます。
〈代表的な離婚後の手続き〉
① 戸籍と姓の手続き
② 年金分割の手続き
③ 身分証などの変更手続き
④ 公的扶助の手続き
⑤ その他の各種手続き
先ず①戸籍と姓の手続きは解説済みなので割愛します。
次に婚姻中に厚生年金に加入していた期間がある場合、多く保険料を支払った側から少ない側に渡す(会社員の夫が専業主婦の妻に分割するなど)という②年金分割の申請ができます。
婚姻期間が長いご夫婦の場合、将来の年金受給額への影響が大きいです。
年金分割はわかりにくい制度ですが、大事な手続きなので申請することをお勧めします。
なお、年金分割の制度は専門家に相談すると簡単に理解できます。
次に離婚に伴い戸籍や姓の変更をした場合、③マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど身分証の変更手続きが必要です。
離婚後の手続きでは窓口で身分証の提示を求められることが多いため、顔写真がついているマイナンバーカードや運転免許証の変更手続きから始めることをお勧めします。
次に④母子(父子)家庭には公的な扶助があります。
公的扶助の手続きは待ちの姿勢では誰も教えてくれません。離婚前から役所に出向いて利用できる制度(児童扶養手当、ひとり親家庭の医療費助成、水道料金の減免など)の確認を積極的にすることが大事です。
なお、離婚届の提出日が月末になる場合、児童扶養手当の申請が間に合わない可能性があるのでご注意下さい。
最後に⑤その他の各種手続きは以下の通りです。
〈その他の各種手続き(一例)〉
・印鑑登録の申請
・国民(厚生)年金の氏名変更
・光熱費や携帯電話の契約者変更
・銀行や郵便局での氏名変更
補足ですがお住まいの地域の役所によっては離婚後の手続きリスト(冊子)を配布していることがあります。1度確認をして下さい。
こういう訳で離婚後の手続きを効率良く進めるため、夫婦間の離婚協議の段階から手続きの情報を集めて、事前準備をしておくことが大事です。
離婚後の健康保険の手続きが大事な理由
離婚前から勤務先の健康保険に加入している場合、大きな変更はなく離婚後も継続することになります。
給料から社会保険料が天引きされている共働きのご夫婦の場合、大きな変更はないと言えます。
一方、専業主婦(扶養内パートも含む)の場合、夫の健康保険から脱退してお住まいの地域の役所にて国民健康保険に加入する可能性が高いです。
病気や怪我はいつ起きるか誰も予想できません。
専業主婦の方は離婚後に迅速に健康保険の手続きを行い、空白期間が起きないように気を付けて下さい。
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離婚チェックシートの回答から始めませんか?

協議離婚では夫婦間で養育費や面会交流などの条件を決定します。
そして決まった条件は口約束で終えても、書面に残しても構いません。
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当事務所ではこの書面作成のサポート時に離婚チェックシートを利用します。
〈離婚チェックシートの特徴〉
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当事務所では全世代のご夫婦からご相談やご依頼を頂いております。
例1)養育費や面会交流など子どものことがテーマになる。
例2)退職金や扶養的財産分与など離婚後の生活がテーマになる。
詳細は離婚公正証書や離婚協議書をチェックシートを使って効率良く作成をご覧下さい。
